和歌と俳句

正岡子規

草むらに落つる野分の鴉哉

名月や笛になるべき竹伐らん

湖をとりまく秋の高嶺哉

森濡れて神鎮まりぬ秋の山

翡翠の来らずなりぬ秋の水

釵で行燈掻き立て雁の声

竹竿のさきに夕日の蜻蛉かな

稲刈りてにぶくなりたるかな

飼ひ置きし鈴虫死で庵淋し

仏へと梨十ばかりもらひけり

いがながらくれる人の誠哉

榎の実散る此頃うとし隣の子

行脚より帰れば棗熟したり

我ねびり彼なめる柚味噌一つ哉

くふや道灌山の婆が茶屋

僧坊を借りて人住む萩の花

芒わけて甘藷先生の墓を得たり

芋の子や籠の目あらみころげ落つ

三日月の頃より肥ゆる小芋哉

何ともな芒がもとの吾亦紅