和歌と俳句

正岡子規

秋晴れ凌雲閣の人小し

里川や燈籠提げて渉る人

石ころで花いけ打や墓参

芋阪の団子屋寐たりけふの月

見に行くや野分のあとの百花園

書に倦むや鳴て飯遅し

蜩や几を圧す椎の影

雨となりぬ雁昨夜低かりし

祇園の鴉愚庵の棗くひに来る

つり鐘の蔕のところが渋かりき

柿熟す愚庵に猿も弟子もなし

稍渋き仏のをもらひけり

御仏に供へあまりの十五

三千の俳句を閲し柿二つ

椎の実を拾ひに来るや隣の子

団栗の落ちずなりたる嵐哉

朝顔のさまざま色を尽す哉

本尊は阿弥陀咲いて無住也

いもうとが日覆をまくる萩の月

貧しさや葉生姜多き夜の市

萩芒来年逢んさりながら

咲くや生きて今年の望足る

蓮の実の飛ぶや出離の一大事

大菊に吾は小菊を愛すかな

清貧の家に客あり蘭の花

虚子を待つ松蕈鮓や酒二合