和歌と俳句

躑躅 つつじ

曲水の噴上げとなるつつじかな 犀星

春愁のかぎりを躑躅燃えにけり 秋櫻子

躑躅わけ親仔の馬が牧に来る 秋櫻子

たそがるる大紫といふつつじ 素十

風つよしつつじの花の吹き溜り 素十

花びらのうすしと思ふ白つつじ 素十

尼寺の卯月八日の白躑躅 蛇笏

両側のつゝじ見て入る館かな みどり女

牧水
さし出でて 池の上に咲く 躑躅の花 水にうつりて 深きくれなゐ

黄つつじの紙の様なる花弁かな 立子

ふりぬきし雨のあと咲くつつじかな 万太郎

硝子戸に犇めくつつじうつりけり 万太郎

庭つつじ蕾そろひて美しき 立子

山の娘のすこやかにゆく躑躅かな 草城

岩の上に小屋掛したる躑躅かな 風生

牧牛の真昼ちらばり山躑躅 辰之助

仔の牛の躑躅がくれに垂乳追ふ 辰之助

眞つ白き船の浮める躑躅かな 汀女

船影がつつじの上にふとくなる 汀女

一株のつつじ隠れの船もあり 汀女

あらはれてかくれて咲ける山躑躅 草城

杣道のけはしく続く山つつじ 立子

温泉山みち凝る雲みえて躑躅咲く 蛇笏

日の昏れてこの家の躑躅いやあな色 鷹女