和歌と俳句

躑躅 つつじ

分け行けば躑躅の花粉袖にあり 虚子

つんつんと風の躑躅の蕾立ち 風生

吾子の瞳に緋躑躅宿るむらさきに 草田男

たまたまの家に在る日の庭つつじ 立子

つつじ咲くさらでも子等は走り居り 汀女

八一
しろがれにかれたつかやのなかにしてつつじはもゆるみづうみのはてに

水を守ることのたふとさつつじ緋に 青邨

先づ躑躅見て空仰ぎ雲迅し 杞陽

自動車の銀のひかりが躑躅ごし 杞陽

うすいろのつつじ三輪祇王寺に 草城

うつうつと大嶽の昼躑躅さく 蛇笏

夕闇にいつまで白き躑躅かな 万太郎

雨ふくむ風ふきいでし躑躅かな 万太郎

満山のつぼみのままのつつじかな 青畝

紅つつじ花満ちて葉はかくれけり 草城

赤き斑やつつじの瓣に蕊染みて 虚子

温泉の香来てつつめば赤きつつじかな 万太郎

山つつじ海をかなたに午後の凪ぎ 蛇笏

御薬園しきりにつつじ白きかな 万太郎

あつまりてあつまりて咲くつつじかな 万太郎

霧はやく行きゆく那須のつつじかな 青畝

風なぶるつつじつつじや那須の原 青畝