和歌と俳句

女郎花

うとみ見る我丈ほどの女郎花 多佳子

女郎花こぼれこぼれてなかりけり 風生

女郎花ぬらす雨ふり来りけり 万太郎

山路咲きつづく中のをみなへしである 山頭火

近道の近道があるをみなへし 山頭火

おみなへしあしたの原に色濃ゆく 立子

女郎花少しはなれて男郎花 立子

女郎花やや略したる床の間に たかし

シグナルに咲きそふ山のをみなへし 青邨

馬育つ日高の国のをみなへし 青邨

山の夜のビール四五本女郎花 万太郎

をみなへし信濃青嶺をまのあたり 林火

信濃路は甘藷畑に立つ女郎花 風生

鹿島槍消ぬるや露の女郎花 秋櫻子

波立てて霧来る湖や女郎花 秋櫻子

杖となるやがて麓のをみなへし 鷹女

患者らの朝は声高女郎花 波郷

歩くとき遠目が利いて女郎花 双魚