かたまるを力にさくや女郎花 子規
月の中に一本高し女郎花 子規
裾山や小松が中の女郎花 子規
浅茅生や小路の中に女郎花 碧梧桐
遣水の音たのもしや女郎花 漱石
左千夫
秋くさの 千ぐさの園に 女郎花 穂蓼の花と たかさあらそふ
女郎花女ながらも一人前 子規
女郎花を男郎花とや思ひけん 漱石
節
うらさぶる 櫟にそそぐ 秋雨に 枯れがれ立てる 女郎花あはれ
節
しだり穗の 粟の畑に 墾りのこる 桔梗が原の 女郎花の花
松の外女郎花咲く山にして 碧梧桐
晶子
わが机 袖にはらへど ほろろ散る 女郎花こそ うらさびしけれ
牧水
をみなへし をみなへし汝を うちみれば さやかに秋に 身のひたるかな
一里来て疲るゝ足や女郎花 放哉
前の馬に迫る馬叱る女郎花 橙黄子
女郎花官人の情事旅にあり 橙黄子
山蟻の雨にもゐるや女郎花 蛇笏
むらさめにおちず古葉やをみなへし 蛇笏
晶子
あぢきなき 砂子の花と 思ひつつ 哀れになりぬ 山女郎花
赤土のなだれの女郎花咲く窓べ 碧梧桐
休らへば手折りもぞする女郎花 碧梧桐
赤彦
わが馬の 腹にさはらふ 女郎花 色の古りしは 霜や至りし
女郎花の中に休らふ峠かな 虚子
夕冷えや切石に置くをみなへし 草城