初雪やかくれおほせぬ馬の糞 子規
初雪や庫裏は真鴨をたたく音 漱石
寐る門を初雪ぢやとて叩きけり 漱石
左千夫
わがめづる庭の小松にこのあした初雪ふれり芝の小松に
左千夫
松の上にいささ雪つみ松が根の土はかぐろし今朝のはつ雪
節
船にねて船をいづれば曉のはつ雪しろしかけはしの上に
初雪や葉少しつけて枯細木 石鼎
初雪や辻かくしすぐ大電車 石鼎
おもしろや初雪ふんで電車まで 石鼎
うしろより初雪ふれり夜の町 普羅
初雪や椋鳥あそぶ広芝生 多佳子
百舌鳥におこされて初雪 山頭火
初雪の久住と相見て高嶺茶屋 久女
初雪の道猟人の影みたり 彷徨子
初雪のひかりに馬柵はまぎれつゝ 辰之助
初雪の馬柵の戸開くる声きこゆ 辰之助
初雪の舞ひより窓の玻璃を擦る 石鼎
初雪や花の遅れし茶の木原 月二郎
初雪のこの夜微震を感じけり 石鼎
初雪は牡丹雪にて夕かな 石鼎
妻縁を走り障子開け初雪見せにけり 石鼎
初雪に離亭の往き来絶えにけり 秋櫻子
初雪やみるみる母の菜園に 汀女