明け易き戸の縁と思ふかな 石鼎
明易く夫人と妻の顔二つ 石鼎
木々と籠に交はせる鳥語明易き 爽雨
地上よりしそめし鳥語明易き 爽雨
糊こはき寝巻なじまず明け易き 真砂女
明易や花鳥諷詠南無阿弥陀 虚子
すぐ来いといふ子規の夢明易き 虚子
明易し開きて寝ねし胸板に 登四郎
明易く覚め祖父のふところか 登四郎
勤行の責め打つ太鼓明易き 虚子
わが老の業はねむれずあけやすき 万太郎
明易き夜を漕ぐ舟の孤燈かな 汀女
さめざめと泣きし夢さめ明易き 風生
ゆうれいにむだないろけのあけやすき 万太郎
明易やカーテンの襞まづ生きて 万太郎
明易やまだ日当らぬ森の家 立子
明け易し硯離れぬ使ひ墨 不死男
千の匙揃へる音に明易し 汀女 サン・マルコ寺院近くのホテルにて
明易く腕のしびれに涛ひびく 林火
明易や大津あたりの車窓雨 立子
旅枕はや明易し響灘 青畝
汐流の辺に赤間宮明易し 青畝
明易の海近ければ白鴎 林火
明易や枕べに浮くマリア像 青畝
天王寺さんは大寺明易し 青畝