和歌と俳句

齋藤茂吉

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あまねくも 年たちかへる 新しさ わが大君を 祝ひたてまつる

新しく 平和みちわたる わが國に 國民の道 ゆたかに通ず

白玉の 光かがよふ 御一家は み民と共に 栄えたまひて

平和なる 日本の國に いでまして 天皇陛下の おほん一家

ひむがしに 茜たなびき 御共に 皇后陛下 豊に立ちます

御一家が こぞりたまへる おほんすがた みつみつし 皇太子殿下

空あまねく 平安みちて み民らと 共に樂しみ はげみたまひぬ

われわれも 務めはげめば 國民の 道に陛下も よろこびたまふ

まどかなる 平和のうちに 栄えたまふ 天皇陛下の おほん一家族

わが國の 國民こぞり 歌ふなべに 空に遍く こだまを返す

七十路の よはひになりて この朝け からすのこゑを 聴かくしよしも

わがくにの ひつぎのみこを ことほぎて われもみ民の さきがけびとぞ

新光 あかねさすとき くにつ民 み腹もゆたに ことほぎまうす

うめのはな 咲きのさかりを 大君の みことのまにま よろこびかはす

日つぎのみこ 出でたたすとき 世界びと いやつぎつぎに よろこびのこゑ

たまきはる 命の限り 生きむとす 新年はなべて 清々として

鴉らは むらがりて飛ぶ ひむがしの からくれなゐの 朝空のなか

いそがしく 道ゆく人も かへりみず 新年のけふ 光線を浴ぶ

みづみづし 平和の中に 生けらくは 白玉いだき 生けらむがごと

ここにして 老いたる者も 朝まだき 起きいでてより 心しづめつ