和歌と俳句

雪解

合ふまでは違ふ流速雪解川 誓子

雪解川合ふ間際まで千曲やさし 誓子

雪消えて三百町歩天にちかく 林火

立山の其の連峰の雪解水 虚子

鍵盤拭いて音かきまはす雪解風 不死男

雪解風連翹黄を發しけり 万太郎

鳩下りて来てむらがれる雪解かな 万太郎

雪解けて黒き宝永噴火山 誓子

雪解けて乾きし越の地の表 誓子

雪解宿ハイハイと啼く九官鳥 不死男

小なだれに炭小舎揺らぐ融雪季 悌二郎

つぶやきかあらずしたたる雪解水 楸邨

ゆれかはす梢の雪塊森雪解 爽雨

雪解月夜闇また水の辺は光り 林火

塀の内雪解月夜のむらさきに 林火

老鶏に衰へ見せぬ雪解川 不死男

瑠璃沼も雪解さなかと溢れ落つ 悌二郎

枝々の乾くにすずめ庭雪解 爽雨

噴きあぐる波ももみあひ雪解川 爽雨

銀行も雁木の一戸町雪解 爽雨

戸障子の耐ゆる光の大雪解 静塔

あらがふと従ふと岩雪解川 爽雨

どうどうと雪解に借りし詫ことば 不死男

みんなみへ乗り込みにけり雪解川 静塔

四囲雪解荒地の言葉充満す 楸邨

無限仏雪解日輪を供華とせり 楸邨

雪解谷顔なき仏宙に湧き 楸邨

不動尊雪解のひびき知りたまふ 青畝

湯の薬師吹きさらさるる雪解かな 青畝