雪解水光琳笹に奏でをり 風生
一片の笹の遮る雪解水 風生
野兎ねらう焼け木の鷹に雪解かな 蛇笏
かしこさに雪解の松の風をきく 秋櫻子
天わたる日のあり雪解しきりなる 秋櫻子
雪解くる漏に笛吹く天女かな 青畝
ここに又迦陵頻伽の雪解漏 青畝
花買はな雪解け窓を押し開き 鷹女
あばら屋の永つたらしき雪解かな 青畝
金剛の雪解ひまなしおもふとき 楸邨
ふる蜂のいくつもとべる雪解かな 耕衣
堰おつるおとかはりては雪解水 蛇笏
焼嶽に月のいざよふ雪解かな 蛇笏
あかあかと白樺を透く雪解川 蛇笏
四方の戸のがたがた鳴りて雪解風 虚子
雲一つなくてまばゆき雪解かな 万太郎
樹のもとのはげしき雪解夕日さへ 林火
旅にして長きホームの雪解の燈 林火
雪解水林へだてて二流れ 虚子
雪解の道暮れゆけり川に沿ひ 誓子
牛の眼がやさしや道の雪解けに 誓子
いづこにも雪消え水の辺に残る 誓子
雪消えし沢よと見れば鴨翔てり 誓子
相喚びて雪解の谷を出でにけむ 楸邨
相おもふ母に爆音子に雪解 楸邨
雪解けの音になじみて菜を洗ふ 貞
石斑魚に朱いすぢがつく雪解かな 犀星
山茶屋や雪解の風に旗高く 素十