明治三十五年九月十九日
子規逝くや十七日の月明に 虚子
糸瓜忌や俳諧帰するところあり 鬼城
糸瓜忌や秋はいろいろの草の宿 鬼城
病めば踏む露しみじみ糸瓜忌となれり 山頭火
本堂の仏灯りし子規忌かな 櫻坡子
いとなみて月夜ばかりの子規忌かな 蛇笏
戸一枚明けて子規忌の出入り哉 普羅
へちま忌や其月老人庵を出ず 普羅
月さそふ風とさだむる子規忌かな 蛇笏
子規忌とて袴つけたる乙女かな かな女
わが子規忌いつもひとりや槻ちりぬ 槐太
ともし火にしたしみそめて獺祭忌 青畝
燭を継ぐ孫弟子もある子規忌かな 虚子
子の髪油つけてはたらく子規忌なり 不死男
心閑子規の忌日を迎へたる 虚子
子規祭る供華に浅間の竜胆を 虚子
去る者を追はず天下の子規忌かな 青畝
人々が心に描き子規祭る 虚子
逢ふよしもなかりし人と子規忌かな 立子
子規の日の嵐の燈火親しみぬ 風生
果物帖のことも子規忌の物語 青畝
歯を借りて繃帯むすぶ子規忌かな 不死男
鶏頭に一日執着す獺祭忌 波郷
糸瓜忌や子規の話を母に聞く 立子
供華もちて誘ひ合せて子規忌かな 立子
いつも忌に横顔の子規老いし子規 誓子
同病の集りてわらへる子規忌かな 波郷