水汲めば青田暮れゆき覚束な 草城
温泉の宿四方の青田の暮るるのみ 草城
夕ぐれや藪も青田も雨のあと 播水
蜻蛉の彩羽隠れし青田かな 石鼎
河骨の花を秘めける青田かな 喜舟
青田より鯰を得たる夕餉かな 喜舟
お祭の三島の道の青田かな 喜舟
青田青田へ鯉児を放つ 山頭火
青田かさなり池の朝雲うごく 山頭火
はれたりふつたり青田となつた 山頭火
青田いちめんの長い汽車が通る 山頭火
小峠や青田の風を吹き上げに 喜舟
帆が飛べば刀根川長う青田かな 喜舟
青田いちめんの送電塔かな 山頭火
青田中西日に延びし汽車の影 立子
日の落ちしあとのあかるき青田かな 万太郎
青田叢々と天に跪坐せんおもひかな 石鼎
虹の中を人歩き来る青田かな たかし
東京の盆ぬけて来て青田かな 万太郎
汽車行きて峡の青田を見下しぬ 波津女
智慧と言ふは涼しきものか青田風 綾子
一点の偽りもなく青田あり 誓子
八方へゆきたし青田の中に立つ 多佳子
青田露ひしめき車窓哺乳瓶 欣一
舷側の西日の透きに能登青田 欣一
青田段丘山墓詣りの道に似て 草田男
ひしひしと声なき青田行手に満ち 多佳子
沼落す渦のしづかに青田べり 秋櫻子
つつましき青田が北に人造湖 不死男
青田より直ぐに高嶽信濃なり 誓子
詰め寄せる山無し尾張青田には 誓子
差し出での埼にも青田筑紫なり 誓子