埋火や隣の咄聞てゐる 子規
埋火や思ひ出ること皆詩なり 鬼城
埋火や倚廬月あげて槻の枝 蛇笏
埋火を抱いて歌よむ骸かな 万太郎
埋火や師のかへり待つ二タ法師 泊雲
埋火に妻や花月の情鈍し 蛇笏
埋火の二階の闇へ梯子かな 橙黄子
埋火の仄に赤しわが心 龍之介
埋火や思ひこだはる一つ事 草城
埋火に顔うつぶせは愁かな 喜舟
埋火に薫ものゝあと匂ふかな 喜舟
埋火に来る鶯を見忘れず かな女
埋火に夕刊その他つねのごと 悌二郎
うづみ火によせしおもひのもゆるかな 万太郎
埋火や今日の苦今日に得畢らず しづの女
埋火に怒りを握るこぶしあり しづの女
埋火や畢竟朝の乱れ髪 友二
埋火の低さや齢半ばとし 欣一
かきあてゝ埋火三つ寄せにけり 占魚
すゐとんや埋み火あかり頬にさす 楸邨
埋み火やまことしづかに雲うつる 楸邨
埋火に月下戻りし身を伏せぬ 林火
埋火や稿を起してより十日 虚子
埋火の絶えなん命守りつゝ 虚子
埋火をひろぐさながら夜寒星 林火
埋火を佛間に置いて忌の明けず 爽雨
埋火に問ひぬ八雲の裔いかに 静塔