和歌と俳句

帰る雁

花よりも団子やありて帰雁 貞徳

立されよ今は都に帰る厂 素堂

巡礼に打まじり行帰雁かな 嵐雪

雨だれや暁がたに帰る鴈 鬼貫

雁行て門田も遠くおもはるる 蕪村

帰る雁田ごとの月の曇る夜に 蕪村

北そらや霞て長し雁の道 召波

春寒し比良の日向帰るかり 暁台

西山や日の上を行雁のすぢ 暁台

なき友を算へて立か小田の雁 青蘿

ゆふ暮の松見に来ればかへる鴈 一茶

行灯で飯くふ人やかへる雁 一茶

田の人の笠に糞してかへる鴈 一茶

人よりも朝きげん也かへる鴈 一茶

いざさらばさらばと厂のきげん哉 一茶

五百崎や御舟をがんで帰る鴈 一茶

かしましや江戸見た厂の帰り様 一茶

行厂や夜も見らるるしなの山 一茶