和歌と俳句

源氏物語の中の短歌

花宴

大かたに花の姿を見ましかばつゆも心のおかれましやは

深き夜の哀れを知るも入る月のおぼろげならぬ契りとぞ思ふ

うき身世にやがて消えなば尋ねても草の原をば訪はじとや思ふ

何れとぞ露のやどりをわかむ間に小笹が原に風もこそ吹け

世に知らぬここちこそすれ有明の月の行方を空にまがへて

わが宿の花しなべての色ならば何かはさらに君を待たまし

あづさ弓いるさの山にまどふかなもの見し月の影や見ゆると

心いる方なりませば弓張りの月なき空に迷はましやは