和歌と俳句

源氏物語の中の短歌

初音

うす氷解けぬる池の鏡には世にたぐひなき影ぞ並べる

曇りなき池の鏡によろづ代をすむべき影ぞしるく見えける

年月をまつに引かれて経る人に今日鶯の初音聞かせよ

引き分かれ年は経れども鶯の巣立ちし松の根を忘れめや

珍しや花のねぐらに木づたひて谷の古巣をとへる鶯

ふるさとの春の木末にたづねきて世の常ならぬ花を見るかな