うす氷解けぬる池の鏡には世にたぐひなき影ぞ並べる
曇りなき池の鏡によろづ代をすむべき影ぞしるく見えける
年月をまつに引かれて経る人に今日鶯の初音聞かせよ
引き分かれ年は経れども鶯の巣立ちし松の根を忘れめや
珍しや花のねぐらに木づたひて谷の古巣をとへる鶯
ふるさとの春の木末にたづねきて世の常ならぬ花を見るかな