和歌と俳句

源氏物語の中の短歌

梅が枝

花の香は散りにし袖にとまらねどうつらん袖に浅くしまめや

花の枝にいとど心をしむるかな人のとがむる香をばつつめど

うぐひすの声にやいとどあくがれん心しめつる花のあたりに

色も香もうつるばかりにこの春は花咲く宿をかくれずもあらなん

うぐひすのねぐらの枝も靡くまでなほ吹き通せ夜半の笛竹

心ありて風のよぐめる花の木にとりあへぬまで吹きやよるべき

かすみだに月と花とを隔てずばねぐらの鳥もほころびなまし

花の香をえならぬ袖に移してもことあやまりと妹や咎めん

めづらしとふるさと人も待ちぞ見ん花の錦を着て帰る君

つれなさは浮き世の常になり行くを忘れぬ人や人にことなる

限りとて忘れがたきを忘るるもこや世に靡く心なるらん