蓮葉を同じうてなと契りおきて露の分かるる今日ぞ悲しき
隔てなく蓮の宿をちぎりても君が心やすまじとすらん
大かたの秋をば憂しと知りにしを振り捨てがたき鈴虫の声
心もて草の宿りを厭へどもなほ鈴虫の声ぞひりせぬ
雲の上をかけはなれたる住家にも物忘れせぬ秋の夜の月
月影は同じ雲井に見えながらわが宿からの秋ぞ変はれる