和歌と俳句

源氏物語の中の短歌

蓬生

絶ゆまじきすぢを頼みし玉かづら思ひのほかのにかけ離れぬる

玉かづら絶えてもやまじ行く道のたむけの神もかけて誓はん

亡き人を恋ふる袂のほどなきに荒れたる軒の雫さへ添ふ

尋ねてもわれこそ訪はめ道もなく深き蓬のもとの心を

藤波の打ち過ぎがたく見えつるはまつこそ宿のしるしなりけれ

年を経て待つしるしなきわが宿は花のたよりに過ぎぬばかりか