盃にさやけき影のみえぬれば塵のおこりはあらじとをしれ
祭主輔親
おほぢ父うまご輔親三代までにいただきまつるすめらおほむかみ
和泉式部
ものおもへば澤の蛍をわが身よりあくがれいづる玉かとぞみる
御返し
奥山にたきぎておつる瀧つ瀬に玉ちるばかりものな思ひそ
藤原長能
白妙のとよみてぐらをとりもちていはひぞ初むる紫の野に
藤原長能
今よりはあらぶる心ましますな花の都にやしろさだめつ
恵慶法師
いなり山みづの玉垣うちたたきわかねぎ事を神もこたへよ
山口重如
住吉の松さへかはるものならばなにか昔のしるしならまし
源兼澄
ちはやふる松のをやまの影みればけふぞちとせのはじめなりける
大貮實政
あきらけき日吉の御神君がため山のかひあるよろづ代やへむ
藤原経衡
ちはやふる神のそのなる姫小松よろづよふべきはじめなりけり
治部卿伊房
榊葉にふる白雪はきえぬめり神の心も今やとくらむ
能因法師
有度浜にあまの羽衣むかしきてふりけむ袖やけふのはふりこ
よみ人しらず
天の下はぐくむ神のみぞなればゆたけにぞたつみづの広前
増基法師
ここにしもわきて出でけむ岩清水神の心を汲みもしらばや
蓮仲法師
住吉の松のしづえに神さびてみどりにみゆるあけの玉垣
よみ人しらず
さもこそは宿はかはらめ住吉の松さへ椙になりにけるかな
藤原時房
おもふことなるかはかみにあとたれてきふねは人を渡すなりけり