冬雨の橋が長い 山頭火
重いもの提げてきた冬の雨 山頭火
ひとりのあんたをひとり私が冬の雨 山頭火
いつまでも下る千生瓢冬の雨 青邨
立ち枯るゝものに玉露冬の雨 青邨
一せいに街燈ともり冬の雨 立子
俥屋の使ひはしりや冬の雨 立子
前の人少し霞みて冬の雨 立子
黄ばみきて薄き梧葉や冬の雨 石鼎
冬の雨磐梯みせずふりにけり 万太郎
冬の雨あはれ帽子の羽は雉子 青邨
われが住む下より棺冬の雨 青邨
峡ふたつ日あたる方に冬の雨 秋櫻子
行儀よく脱ぎしスリッパ冬の雨 万太郎
都府楼趾淋しき冬の雨が降る 立子
冬雨の祷りて叶ひし岩洗ふ 草田男
水漬きつつ木賊は青し冬の雨 汀女
冬の雨やむけしき見せ美しき 立子
漢ひとり渚をゆけり冬の雨 悌二郎
冬の雨なほ母たのむ夢に覚め 汀女
青桐の幹を流涕冬の雨 風生