和歌と俳句

拾遺和歌集

恋四

よみ人しらず
住吉のあら人神に誓ひても忘るる君が心とぞきく

右近
忘らるる身をは思はず誓ひてし人の命の惜しくもあるかな

実方朝臣
何せむに命をかけて誓ひけんいかばやと思ふ折もありけり

よみ人しらず
塵泥の數にもあらぬ我ゆゑに思ひわぶらん妹が悲しさ

人麿
こひこひて後も逢はむと慰むる心しなくば命あらめや

人麿
かくばかり恋ひしきものと知らませばよそに見るべくありけるものを

よみ人しらず
涙河のどかにだにもながれなむ恋ひしき人の影や見ゆると

貫之
涙河おつるみなかみはやければせきぞかねつる袖のしがらみ

万葉集和し侍りける歌 源順
なみだ河そこの水屑となりはてて恋ひしき瀬々に流れこそすれ

藤原惟成
人しれず落つる涙のつもりつつ數かくばかりなりにけるかな

斎宮女御
かつ見つつ影はなれゆく水の面にかく數ならぬ身をいかにせむ

よみ人しらず
さをしかの爪だにひぢぬ山河のあさましきまでとはぬ君かな

よみ人しらず
あさましやこのしたかげの石清水いくその人の影を見つらむ

よみ人しらず
行く水の泡ならばこそ消えかへり人のふちせを流れても見め

よみ人しらず
津の国の堀江のふかく思ふとも我はなにはのなにとだに見ず

よみ人しらず
津の国の生田の池のいくたびかつらき心を我に見すらむ

よみ人しらす
津の国の難波わたりにつくるなるこやといはなむゆきて見るべく

よみ人しらず
旅人の萱かりおほひつくるてふまろやは人を思ひわするる

人麿
なには人あし火たくやはすすたれどおのが妻こそとこめづらなれ

よみ人しらず
住吉の岸におひたる忘草見ずやあらまし恋ひは死ぬとも