和歌と俳句

笹鳴き

笹鳴や日の出の何ぞなつかしき 楸邨

笹鳴や死後への汚れ焚きすてて 楸邨

いのちあるものなつかしく笹鳴けり 楸邨

笹鳴や軍歌うるほふ朝まだき 知世子

笹鳴や崖の一日音もなく 楸邨

氷上を枯葉はしれり笹鳴きす 楸邨

笹鳴きを赤城颪が吹きさらふ 楸邨

笹鳴や世にもきれいな夕日今 立子

笹鳴や職場に知己ある謂なし 草田男

笹鳴や母のやつれは言ふまじく 信子

笹鳴にかさりこそりとお滝守 青畝

笹鳴に粗懶の百舌のまじりたる 青畝

笹鳴や口中覗く身過ぎ得て 静塔

笹鳴やひそめるものは胸をうつ 楸邨

笹鳴なつかし口に出かかる「終戦後」 楸邨

笹鳴の突ともう起きねばならぬ 立子

絵の売れし画室のさびれ笹子鳴く 爽雨

笹鳴に掌をのべ古風な庭木らよ 鷹女

笹鳴や廻廊渡る茶菓もちて 立子

笹鳴の来しふところ手ほどきけり 波郷

さゝなきややうやくくらき靄のかげ 万太郎

笹鳴や大刈込をくぐりては 秋櫻子

一生のきまる縁ぞとも笹鳴ける 万太郎

笹鳴の忿ふくめる一日あり 波郷

笹子鳴く旅もどりまだ庭を見ず 爽雨

笹原に笹子の声のみちさだか 爽雨

笹鳴や深山たびたび日をかくす 双魚

笹子鳴くわが丈笹にしづむとき 爽雨

死はひとつ手ぶらあるきに笹子鳴く 不死男

笹鳴や厨ごとこそ大切に 


冬の日 顔見世 冬の空 初雪 初氷 寒さ 冬木立 枯木 冬枯 枯尾花 冬の山 枯野 笹鳴き みそさざい 都鳥 千鳥 冬の海 河豚 海鼠 冬ごもり 埋火 焚火 炬燵 風邪 日向ぼつこ 北風 霜夜 冬の雨 冬の月 冬至 柚湯 クリスマス 師走 年の市 煤払い 年忘れ 餅つき 歳の暮 行く年 大晦日 除夜