和歌と俳句

枇杷 びわ

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枇杷の鈴四五枚の葉に立据はり 泊雲

枇杷すするしづかにあまき匂かな 槐太

神垣に枇杷の生りたるをかしさよ 虚子

枇杷積んだ馬が通りぬ屋敷内 みどり女

歯にしみる冷たき枇杷や山の茶屋 立子

夕あかりの枇杷の実のうれて鈴なり 山頭火

ゆふべはうれて枇杷の実のおちるしめやかさも 山頭火

庵主の茶碗のよこの枇杷二つ 立子

降り歇まぬ雨雲低し枇杷熟れる 久女

わがもいで愛づる初枇杷葉敷けり 久女

わがもいで贈る初枇杷葉敷けり 久女

枇杷の雨やはらかしうぶ毛ぬらしふる 鴻村

枇杷の臍しん黒くして薄緑 石鼎

枇杷の柄の茶のびろうどに木菟や来む 石鼎

枇杷買のカンテラさげて島渡り 野風呂

大島や枇杷をたづきの七ヶ村 野風呂

日本海の波荒き日も枇杷ちぎり 野風呂

北海の青潮下に枇杷ちぎり 野風呂

枇杷をとる娘が落したる黄楊の櫛 野風呂

枇杷実る大海の轟くところにて かな女

枇杷もげば白雲とみに目をそそる 鴻村

地の籠に枇杷採りあふれなほ運ばる 多佳子

枇杷のもと農婦とあつき枇杷すする 多佳子

群燕に紀伊路の田居は枇杷熟るる 蛇笏

枇杷の実の天を仰ぎて太りけり 占魚

やはらかき紙につつまれ枇杷のあり 

ハンケチに雫をうけて枇杷すする 虚子

枇杷を食ぶ完き閑を得んとなし 汀女

枇杷熟れて錢こぼすほどバス揺れて 汀女

枇杷の実の上白みして熟れにけり 石鼎