和歌と俳句

東風

裏がへる絵馬一つあり東風の宮 みどり女

夕東風に舟傾きて進みけり みどり女

大島の噴煙東風にかきくもり 花蓑

強東風によしずたふれし茶店あり みどり女

新艘おろす東風の彩旗へんぽんと 久女

手拭の吹きとんでゐる東風の宮 みどり女

東風の磯下総の国ここに尽く 秋櫻子

まのあたり東風の海鳥吹かれゆく 秋櫻子

東風の波舳に富士を沈めつゝ 悌二郎

煙突のけむりに東風としられけり 石鼎

石段を東風ごうごうと本門寺 茅舎

噴水や東風の強さにたちなほり 汀女

東風吹くや岩戸の神の二はしら 蛇笏

東風吹いて山椒魚に鳶啼けり 蛇笏

東風強し堀切橋の下の水 万太郎

東風ふくやいまはむかしのいづもばし 万太郎

虚偽の兎神も援けず東風つよし 久女

東風吹くや八重垣なせる旧家の門 久女

東風の湖荒海の波が来て奔る 楸邨

野火消えて夕べたかぶる東風の湖 楸邨

竹生島さしてましぐら東風の船 花蓑

東風の街窓おきて瑪瑙を商へる 鷹女