山路来て何やらゆかしすみれ草 芭蕉
馬の頬押のけつむや菫草 杉風
ねぶたしと馬には乗らぬ菫草 荷兮
一鍬や折敷にのせしすみれ草 鬼貫
明ぼのやすみれかたぶくうごろもち 凡兆
うつむいた所が台やすみれ草 千代女
すみれ草根よけに立し宵の雨 千代女
牛も起てつくづくと見る菫哉 千代女
駈出る駒も足嗅ぐすみれ哉 千代女
地も雲に染らぬはなきすみれ哉 千代女
濡るまでは心野にをくすみれかな 千代女
居りたる舟を上ればすみれ哉 蕪村
骨拾ふ人にしたしき菫かな 蕪村
奥山や人住あればすみれぐさ 暁台
菫艸杉の古根に咲入し 白雄
若草やあるがなかにもしら菫 青蘿
すみれ蹈で今去馬の蹄かな 几董
今少したしなくもがな菫草 一茶
地車におつぴしがれし菫哉 一茶
花菫がむしやら犬に寝られけり 一茶
鼻紙を敷て居れば菫哉 一茶
にくまれし妹が菫は咲にけり