春山の名もをかしさや鷹ケ峰 虚子
楼門のありて春山聳えたり 虚子
大岩の蔭のさむさよ春の山 草城
紅裏の鞍を馬上や春の山 石鼎
松風のたかぶつてゐる春の山 草城
かすかに山が見える春の山 山頭火
春山もこめて温泉の國造り 虚子
子供等の登りくるらし春の山 立子
石段に茶店の鶏や春の山 櫻坡子
春山の寺の小さな仁王かな 櫻坡子
後澗に入らず春山歩をかへす 虚子
春の山増上教寺聳えたり 虚子
春山にかの襞は斯くありしかな 草田男
春山に木樵の居りて小石落つ 草田男
春山をいただくバスの馳せて来し 汀女
風強き玻璃戸の外の春の山 立子
庭前の春の山みて拭き掃除 立子
春の山尼僧がクルス垂れて長し 青邨
鳥啼きて湖はしろがね春の嶽 蛇笏
絵巻物拡げゆく如春の山 立子
春山の上に顔出す湯治客 普羅
雪つけて飛騨の春山南向き 普羅
淋しさや春山を描き雲を添ふ 普羅