若山牧水

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かたはらに 秋ぐさの花 かたるらく ほろびしものは なつかしきかな

白玉の 歯にしみとほる 秋の夜の 酒はしづかに 飲むべかりけれ

あはれ見よ またもこころは くるしみを のがれむとして 歌にあまゆる

旅人は 松の根がたに 落葉めき 身をよこたへぬ 秋風の吹く

かなしみに 驕りおごりて つかれ来ぬ 秋草のなかに 身を投ぐるかな

小諸なる 医師の家の 二階より 見たる浅間の 姿のさびしさ

秋風の そら晴れぬれば 千曲川 白き河原に 出てあそぶかな

薄暗き こころ火に似て 煽り立つ 野山もうごき 秋かぜの吹く

顔ぢゆうを 口となしつつ 双手して 赤き林檎を 噛めば悲しも

松山の 秋の峡間に 降り来れば 水の音あをし せきれいの飛ぶ

うちしのび 都を落つる 若人に 朝の市街は 青かりしかな

身もほそく 銀座通りの 木の蔭に 人目さけつつ 旅をおもひき

黄ばみたる 広葉がくれの 幹をよぢ 朴の実をとる 秋かぜのなか

かへり来て 家の背戸口 わが袖の 落葉松の葉を はらふゆふぐれ

濁り江の うすむらさきの 水草の ここにも咲けば 哀しわが生は

衰ふる 夏の日ざしに したしみて 昼も咲くとや 野の月見草

長月の すゑともなれば ほろほろと 落葉する木の なつかしきかな

沈みゆく 暗きこころに さやるなく 家をかこみて すさぶ秋風

わが母の 涙のうちに うつるらむ われの姿の あさましきかな

こころやや むかしの秋に かへれるか 寝覚うれしき 夜もまじりきぬ

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