和歌と俳句

墓参り

ひたすらに祖先の墓を拝みけり 虚子

詣るにも小さき墓のなつかしく 虚子

とりいでし錦繍バッグ墓詣 蛇笏

野分中つかみて墓を洗ひをり 波郷

顔一つ野分の墓を洗ひをり 波郷

夾竹桃花無き墓を洗ふなり 波郷

小坪まで渚づたひや墓まゐり 万太郎

香煙に心を残し墓参り 虚子

墓洗ふ母とわれの手相触れて 林火

風すぎるほど風のあり墓詣 万太郎

七転び八起きかなしき墓参かな 万太郎

橋いくつこえて来にけむ墓詣で 万太郎

墓を去る時に笑ふや墓参り 耕衣

病涯の髪赭く墓に詣るなり 波郷

詣でたる墓前の妻の草がくり 蛇笏

面白うていつに死ぬるや墓参り 耕衣

きやうだいの縁うすかりし墓参かな 万太郎

墓参り傘を忘れて戻りけり 万太郎

参りたる墓は黙して語らざる 虚子

この墓に消え入る我や墓参り 耕衣

物寂びたる欲しき墓あり墓参り 耕衣

墓の意のままに動きて墓参人 耕衣

むらさきになりゆく墓に詣るのみ 草田男

深山に来て墓洗ふ涙もろ 静塔

墓洗ふパン持ち跳ねる幼なさと 静塔

仕合せはこの世の話墓参 立子

隅に身を攻めてちぢめて墓掃除 静塔

墓のごと虚空も起てり墓参り 耕衣

墓参みち泉二つを経つつ坂 爽雨

掃苔の垣に空蝉のこしたる 爽雨

香煙の蚊をも払ひぬ墓詣 爽雨