鷹を頂側枝幾重の海の松
到るやここを離れぬ鷹か海へ舞ふ
鷹の海銀に小刻み伊勢の方
遠足のなぜとなく待つ紅小旗
百千鳥正面半里をバス来つつ
虹半円人どち盲点重ね合ひ
睡蓮や挿絵も自筆の秘冊あり
汗してマラソン胸もと緊めて銀行員
その音のみ穂麦さやぎに耳順ふ
背の子へ清水の盃を水平に
初蝉ややうやく基地を辿り出し
青蛙土下座ならずと高鳴ける
うたかたが生れた消えたと蚊柱や
七夕流す三年服喪をいはざりしも
むらさきになりゆく墓に詣るのみ
もの食ぶも食ぶるを見るも盆あはれ
郭公や卓上酒中の詩を信ぜず
雲の峯途上にしてして揉む土不踏
踊意先づ指に走りて雲の峯
中年とは相訪はぬことかきりぎりす
言霊の言をやすめて昼寝妻
かをる白雨聖院乙女に白しぶき
祖国二分の神父と語る白雨の中
他人が放つ飛矢を目送り涼しさよ
夏嵐白羽矢黒羽矢明暗飛ぶ