和歌と俳句

蒲公英 たんぽぽ

蒲公英や畦に拾へる古瓦 悌二郎

たんぽぽの大きな花やうす曇り たかし

たんぽぽの閉づれば天気変るなり たかし

蒲公英に千切つてこぼす草葉かな 草田男

蒲公英の花を傾け蟻の塔 烏頭子

蒲公英や一座一座の花盛り 泊雲

たんぽぽにかこまれ草に坐りけり 立子

たんぽぽや一天玉の如くなり たかし

もう転ぶまい道のたんぽぽ 山頭火

裏口からたんぽぽにたんぽぽ 山頭火

ぢつとしてたんぽぽのちる 山頭火

蒲公英の葉に湛へ居り雨滴 石鼎

蒲公英を瞳に遂へば野の涯もなし 石鼎

大風のなかに蒲公英咲けるかな 万太郎

蒲公英や日はいつまでも大空に 汀女

蒲公英を踏みしと思ふ夜の径 青邨

蒲公英に妻ありし日をおもひけり 万太郎

あすが来てゐるたんぽぽの花びらに 鷹女

たんぽぽや県城門をここに開く 青邨

たんぽぽや長江濁るとこしなへ 青邨

魚臭き濱のたんぽを掌に摘みぬ 鷹女

たんぽぽの絮息づいて尚高く 汀女

たんぽぽやいま江南にいくさやむ 素逝

蒲公英や鷺の白光御空より 茅舎

親子してかがむ蒲公英庭にあり 青邨

人々は皆芝に腰たんぽぽ黄 虚子

たんぽぽの黄が目に残り障子に黄 虚子

蒲公英のにはかなる黄のわきにけり 万太郎

芝生ありたんぽぽ咲けり一人たつ 万太郎

蒲公英や石垣匂う海の縁 欣一

日に酔へる我にますますたんぽゝ黄 占魚