たんぽぽや忽ち蜂の影よぎり 汀女
たんぽぽの花には花の風生れ 汀女
しあわせに短かたんぽゝ昼になる 綾子
雨ほつと折から野路のたんぽゝ黄 立子
蒲公英や旅は陶見るゆとりなき 秋櫻子
潮騒にたんぽぽの黄のりんりんと 青畝
老いゆくか小崖たんぽゝ咲く一と日も 綾子
蒲公英や一切事に斯く雲寄るな 草田男
たんぽぽ地に張りつき咲けり飛行音 三鬼
坂来れば辻に蒲公英垣に海 秋櫻子
碧天や喜雨亭蒲公英五百輪 秋櫻子
たんぽぽや信者の寝墓ばかりとぞ 青畝
たんぽぽの金環いま幸福載せ 多佳子
人ゆきてたんぽぽ踏まれざりしこと 爽雨
たんぽぽのさきがけなれば黄のいびつ 爽雨
蒲公英黄むかしはむかしいまはいま 万太郎
たんぽゝと小声で言ひてみて一人 立子
蒲公英や懶惰の朝の裾さむし 波郷
蒲公英の十日の花が絮となる 秋櫻子
サイロ二基大地にふかし花たんぽ 林火
蒲公英や利島の失せし沖の凪 秋櫻子
満腹や絮のたんぽぽ墓地に浮き 不死男
たんぽぽや久方ぶりの雨が降る 立子
たんぽぽの座につまづきて悲しけれ 立子
般若寺は蒲公英咲きて竹茂り 立子
目ほそめて蒲公英の見れば見ゆ 楸邨
たんぽぽの皆上向きて正午なり 立子
たんぽぽに塩屋の庇触れにけり 青畝
たんぽぽが咲いて千代田区霞が関 風生
蒲公英の円満の絮蝦夷古刹 誓子
蒲公英のほとりから沙無限かな 楸邨