秋櫻子
こもり居や茶のひらきける金の蘂
鷹女
茶の花の盛り流人の如く佇つ
波郷
茶の花やアトリヱ占むる一家族
青畝
茶の花のうひうひしくも黄を点じ
秋櫻子
茶が咲きぬ素足が冷えぬおのづから
秋櫻子
茶の花にいまありし日が山の端へ
青畝
茶畠や大きな花のここかしこ
青畝
見てをりし茶の花昃るずんずんと
万太郎
茶の花におのれ生れし日なりけり
楸邨
はるかなこゑ「茶の花がもう咲いてます」
楸邨
茶の花に灯るいつかは還りこむ
秋櫻子
喉いたき朝のめざめに茶が咲けり
秋櫻子
茶が咲きて驚き起す稿のあり
草田男
茶の花や嘴黄なる白家鴨
秋櫻子
西武蔵奥の山畑の茶が咲けり
爽雨
茶の花のたまたま大に仰向きに
蛇笏
茶の木咲きみそらはじめてみるごとし
立子
茶の花の新らし銀の雨が降る
不死男
茶の花小粒わが死後に誰嘆かむやく
林火
茶の花の蘂の雨粒暮色めく
波郷
茶の花のほとりにいつも師の一語
立子
茶の花や少し大人になりにける
不死男
茶の花や骨湯の好きも母ゆずり
爽雨
茶の花の屑々の中大一つ
秋櫻子
普賢寺村茶どころにして茶の咲ける
林火
茶が咲けり働く声のちらばりて
汀女
茶の花や聞けば嘆きはあるものぞ
風生
掌にのせ茶の花を仰向かす
汀女
茶の花に便り一行など惜しむ
耕衣
茶の花の萎れて散るも昔かな