夕栄に起ちさざめけり稲雀 草城
追ふ声のあはれに暮るれ稲雀 草城
稲すずめ大菩薩嶺はひるかすむ 蛇笏
出発つや疾風の如く稲雀 波郷
稲雀追ふ人もなく喧しき 虚子
稲雀汽車に追はれてああ抜かる 誓子
稲雀更に微塵となり距つ 誓子
稲雀児に叫ばれてかへしけり 誓子
中空を好んでわたる稲雀 誓子
稲雀とんでにぢれて雀色 誓子
稲雀群を進むること迅し 誓子
稲雀にも夕暮や人恋し 汀女
稲雀五重の塔を出発す 三鬼
稲雀笑いさざめく朝日の樹 三鬼
稲すずめ森ごもり鳴くすさまじき 爽雨