春水にうつりて淋しビルディング 万太郎
春の水弁才天の島ひたす 青邨
樋の割れて春の玉水たわみ落ち 青畝
ペリカンや何をめざして春の水 汀女
春水のあるひはながれいそぎけり 万太郎
橋に立てば春水我に向つて来 虚子
春水に水棹の泥のすぐほどけ 虚子
橋の欄譲りもたれて春の水 花蓑
春の水渦のとけては顔になる 花蓑
しひ茸を干す軒下の春の水 貞
春水のただ一線の汀石 汀女
春水や障子とざして観世音 耕衣
春水をたたけばいたく窪むなり 虚子
風少し出て春水に情あり みどり女
春の水のぞきてをらず何か棲む 悌二郎
春水の浮き上り見ゆ木の間かな たかし
春の水風が押へて窪むまま 虚子
春水の底の蠢動又蠢動 茅舎
春水のただただ寄せぬかへすなき 汀女
春水にとぎ水白くやがて消え 立子
春水の大鏡ある木の間かな たかし
春水に落るが如くほとりせり 虚子
掘割に思ひ思ひに春の水 汀女
春水や乱るる葦にわかちなく 汀女
春の水つまづく石に流れたり 楸邨
春水に袂かかへてかがみもし 万太郎
油の目大きく二つ春の水 虚子
あしはらの中ながるるや春の水 万太郎
春の水梭を出でたる如くなり 虚子
川下の娘の家を訪ふ春の水 虚子
春水と行くを止むれば流れ去る 誓子
春水に沈みて真青なる蛇籠 風生
撓みたる筧の先の春の水 占魚
みなかみに人住み春水濁りけり 普羅