子規
頭巾きて老とよばれん初しぐれ
漱石
初時雨五山の交るがはる哉
漱石
初時雨吾に持病の疝気あり
虚子
初時雨これより心定まりぬ
久女
訪れて山家は暗し初時雨
龍之介
峡中に向ふ馬頭や初時雨
青畝
蟷螂や死にも果てずにはつ時雨
龍之介
あけぼのや軒ばの山を初時雨
青邨
山茶花の蕾そろひぬ初時雨
草城
かんばしき黒珈琲や初しぐれ
藪なかや朽ち垣ぬらす初時雨 蛇笏
蓖麻の實眠むるより初しぐれ 蛇笏
山地蕎麦掛け干す樹々に初しぐれ 蛇笏
虚子
初時雨あるべき空を見上げつつ
万太郎
はつしぐれコスモスいまだ咲きやめず
波郷
すぐもどる西の河原やはつしぐれ
虚子
初時雨その時世塵無かりけり
普羅
絶壁に吹き返へさるゝ初時雨
波郷
口に出てわが足いそぐ初しぐれ
波郷
ジャズの音をふみ急ぎたる初時雨
蛇笏
うたひめにネオンかはたれはつしぐれ
蛇笏
山中の巌うるほひて初しぐれ
蛇笏
落葉松の高き巣箱に初しぐれ
万太郎
はつしぐれ垣つくろひしばかりかな
蛇笏
泥鰌とる鷺のむらがる初時雨
立子
初時雨景も心も変りけり
立子
初時雨人なつかしく待ちにけり