老猫の恋のまとゐに居りにけり 虚子
葉牡丹を活けて静けし猫の恋 石鼎
猫の恋老松町も更けにけり 草城
猫の恋後夜かけて父の墓標書く 草田男
学僧に梅の月あり猫の恋 虚子
猫の恋隈なく月の照つてをり 万太郎
猫の恋火入りの月をおもふかな 万太郎
恋猫を一歩も入れぬ夜の襖 久女
窓にきて夜半いみじさや猫の恋 石鼎
白妙の雪をわたりぬ猫の恋 石鼎
三だんに落ちし音あり猫の恋 石鼎
夜半の地に二声ばかり猫の恋 石鼎
恋猫にだいちの春をしりにけり 石鼎
炭斗にとぼしき炭や猫の恋 石鼎
恋猫や朧はおこす蘭麝の香 石鼎
梅二三輪簪のごとし猫の恋 石鼎
更くる夜々のともし幽しも猫の恋 石鼎
太白のつらぬく檜葉や猫の恋 耕衣
猫の恋月に嘯くとはいへど 茅舎
種彦の死んでこのかた猫の恋 万太郎
又ここに猫の恋路とききながし 虚子