和歌と俳句

外套

外套のゐだけ高なる散歩かな 石鼎

ひたすらに纏ひて破るる外套かな 汀女

外套を黝くぞみたるのみに寝る 波郷

書の白さ外套を脱ぎ痩身なる 波郷

プール涸れ外套を着て降る梯子 不死男

外套の襟立てて世に容れられず 楸邨

外套を脱ぎしが壁の影も脱ぐ 楸邨

外套に銭あり握りては離す 楸邨

外套の夫と離れつつ貝拾ふ 波津女

焦土に月日外套の釦ネオン受く 不死男

坂登る黒き外套は吾が世界 綾子

外套の泥はね一つ灯に戻る 綾子

外套を脱ぐ妻罪びと吾が仰ぐ 波郷

外套のわが影病めりとぞ思ふ 波郷