和歌と俳句

葡萄 ぶどう

水上に熟るる万朶の山葡萄 普羅

葡萄食ふ一語一語の如くにて 草田男

秋風にふくみてあまき葡萄かな 万太郎

重き房なりし葡萄を食べ終る 波津女

乳足り子を地におき葡萄採りいそぐ 多佳子

葡萄の房切るたび鋏の鉄にほふ 多佳子

恋愛詩誦し葡萄の珠ふくむ 草城

青西日籠めて熟れつつ葡萄棚 静塔

セメントの坂の日向を葡萄摘 静塔

天辺や腋毛ゆたかの葡萄摘 静塔

葡萄の下吾が身長のまま歩く 誓子

山葡萄笹に這ふなり万座口 秋櫻子

葡萄熟れとしよりの日のつどひ見す 林火

北国の短か葡萄よ汽車走る 誓子

葡萄口に飽かずはこびて癒えそめぬ 波郷

野葡萄にしがみつかれて竹屈す 青畝

むらさきに指をとどかせ葡萄樹下 静塔

葡萄終りてボルドーの白たつぷり 静塔

山ぶだう飛瀑を隠すほどならず 青畝

わいん党葡萄三色籠に盛り 静塔

みどり子のしげしげ見入る葡萄の実 静塔

葡萄摘むゑくぼ小出しに尽きもせず 静塔

嘴太の鳴きわめきをる山葡萄 青畝