和歌と俳句

鶉 うづら

桐の木にうづら鳴くなる塀の内 芭蕉

鷹の目も今や暮ぬと鳴うづら 芭蕉

伏見には町屋のうらに鳴鶉 鬼貫

鶉野や聖の笈も草がくれ 蕪村

風落て綱懸の鶉見日哉 白雄

小庇やけむいけむいとなく鶉 一茶

一葉
来てみれば鶉のとことなりしかな昔も荒れし園生なりしを

子規行きくれし真葛が原の風寒み鶉啼くなり人も通はず

後に鳴き又先に鳴き鶉かな 漱石

栗一つ食み割る音の鶉かな 虚子

鶉鳴く葎の宿のしるべかな 鬼城

牧水
月光の うす青じめる 有明の 木の原つづき 啼く鶉かな

手を分つ古き都や鶉鳴く 漱石

庭草の紅葉に放つ鶉かな 万太郎

寝てゐれば粟に鶉の興もなく 漱石

霊山へ木深く逃げし鶉かな 泊雲