和歌と俳句

源頼政

浮草を くもとや厭ふ 夏の池の 底なる魚も 月をながめば

夏もなほ 雪解の水の 末なれば 富士の川こそ 冬ここちすれ

名を聞くに 思ひなすにや 和泉なる 信太の森の かげの涼しさ

露はしる 山のすゑ野に かりねして そらおそろしき 夜半の五月雨

暮れぬるか 遠のやまかげ わたりきて 今ぞとなせの 川辺すずしき

世の中を うしろになせる 山里に まづさしむかふ 夕顔の花

我におとる 人こそなけれ 山里に 夏ぞひきをる 柴ふるひ人

山がつの こやのしりへの 畠にまく あはれ我が身を いかさまにせむ