和歌と俳句

松虫

まつむしの啼音やさゆる銅盥 白雄

松虫や素湯もちんちんちろりんと 一茶

松虫に恋しき人の書斎かな 虚子

黙す瞬間いと朗らなる松虫よ 山頭火

松虫に吾家の風呂は小さくも みどり女

松虫におもてもわかぬ人と居り 秋櫻子

松蟲や夜風のすさぶ山の樹々 淡路女

松蟲を聞きに来にけり城ヶ島 たかし

松虫にささで寝る戸や城ヶ島 たかし

松虫や子等静まれば夜となる みどり女

八一
ともしびににはのまつむしのぼりきてほとほとなくかさよふくるまで

松蟲の市なかに鳴く道後の湯 上村占魚

松虫のものがたりあり虫すだく 虚子

松蟲草吹き分く風のあとを追ふ 林火