花あしび子が折りきたり花あしび 悌二郎
あしびはや花をたりつゝ朝を冷ゆ 悌二郎
ふる雪にあしびは花のましろなる 悌二郎
ひと房にここだ馬酔木の花の壺 草城
渓潤にあしびの花のいくたりも 青邨
月よりもくらきともしび花馬酔木 青邨
馬酔木咲き野のしづけさのたぐひなし 秋櫻子
公園の馬酔木愛しく頬にふれ 久女
旅かなし馬酔木の雨にはぐれ鹿 久女
縁に立つ馬酔木の花はゆれやすし 青邨
左丹塗の春日明神花馬酔木 青畝
馬酔木折つて髪に翳せば昔めき 虚子
馬酔木咲く下みち通ふ馬もゐて 貞
馬酔木咲く丘は野となり丘となる 波津女
春霰たばしる馬酔木花垂りぬ 麦南
折りとりて蚋おふ山の馬酔木かな 麦南
夜の雨の庭前馬酔木しろきのみ 秋櫻子
人遠し馬酔木の下のくぐり水 綾子
湖の霧馬酔木咲く野へあふれいづ 秋櫻子
馬酔木咲き桂の宮は雨けぶる 秋櫻子
馬酔木咲き雲の匂へる日の出前 秋櫻子
馬酔木野をたまたまよぎる鹿かなし 秋櫻子
一隅に朝日さしたる野の馬酔木 秋櫻子
奈良幽か朝のあしびに鐘わたる 青畝
林なす花の馬酔木野巫女来ぬる 青畝
わが袖に君が袖にと馬酔木ゆれ 青畝
夕雲の馬酔木に居りて夜も去らず 秋櫻子
白珠や寺道寂びて花馬酔木 不死男