和歌と俳句

小春 小六月

みどり女
小春日や眼底までも光りけり

万太郎
鎌倉の果てから果ての小春かな

万太郎
一生に二度と来ぬ日の小春かな

虚子
念力のゆるみし小春日和かな

風生
一翳の雲ゆゑいよよ小春空

万太郎
うすぐものひろごりそめし小春かな

立子
大佛に足場かけたり小六月

秋櫻子
草枕小春は替へむ夢もなし

万太郎
大丸の大の一字の小春かな

万太郎
東京に名物ふえし小春かな

爽雨
牡丹枯れ梅枯れかかり庭小春

爽雨
あまた出て小春を崩す雲ならず

爽雨
蕎麦刈はしぐさやさしく野の小春

爽雨
くれなゐに蕎麦を刈り伏せ野の小春

万太郎
ひっきやうは老いの気弱の小春かな

万太郎
小春日の老のかたくななりしかな

万太郎
京都でてすぐトンネルの小春かな

風生
憂きことの紋服を着て小春空

万太郎
はんぺんの肌かぐはしき小春かな

万太郎
水引のうまくむすべて小春かな

波郷
小春日や孤りかたぶく十字墓

秋櫻子
小春日の樟立ち並ぶ宇土櫓

立子
美術館出て倉敷の小春かな

爽雨
もつれ見ゆ三笠山路小春空

爽雨
波明り厨子にぞ浮御堂小春

悌二郎
海潮音わけて小春の潮の渦

悌二郎
小春日の苑の広さに際歩む

悌二郎
小六月籠も熊手も松の下

悌二郎
賜はれる小春天女の宝珠より

爽雨
堂いらかながれ灑ぐに小春われ

爽雨
笠雲は紐をもたれぬ冨士小春