和歌と俳句

端午

老ぼれて武士を忘れぬ端午かな 鬼城

深草のゆかりの宿の端午かな 蛇笏

糸竹身にいとしごの端午かな 麦南

丈夫なる泣き声たてゝ初端午 みどり女

紙菖蒲持てり端午の市人とて かな女

厖大なる王氏の昼寝端午の日 三鬼

くちすゝぎ砲声を遠に端午なり 遷子

端午とて弥山の鷹のこゑすなり 秋櫻子

蜑の籠に端午の鯛の躍りをり 秋櫻子

蔵構左右に端午の日影落つ 秋櫻子

端午開扉す怒りたまへる秘佛なり 秋櫻子

すこしある五月五日の残り酒 青畝