和歌と俳句

源俊頼

風ふけば 彌陀のみぎりに 散る花を 法の莚と 敷きしのぶかな

たが罪も 法のあふぎに あらそひて 風の前なる 塵となしつる

君がため かける御法の みづくきに 我が身をさへも 濯ぎつるかな

大空を 御法の風や 拂ふらむ 雲隠れにし 月をみるかな

たがために 求めて得ける 法なれば 今日までこのみ 數にもりけむ

ひとやりの みことならねば たまづさの 心をかりに かけぬ日ぞなき

法の海 磯つたひきて 波のおとを 包むにさへも 濡るる袖かな

うちはへて 頼むみやまの あをつづら 苦しみ無きは 我ひとりかな

なごりなき ものとや花を 思はまし 実になるべしと 教へざりせは

おひたちし ほどを知らずは かりにても 草の庵に やどらましやは

もろともに 咲き始めける 花なれど いかなる木の実 なり遅れけむ

ふたつなき けふのまことを しるべにて 法の御園の 花を知らばや

このみしも まなき光に もれけるは まどひや空の 雲となるらむ

雲ゐにて 上なき人の 品ならば 静かにおもへ 身はゆかずとも

こころして 數はかりなき 光にも きらはれぬべき 身をいかにせむ

われといへば 限りあるにそ 似たりける そこともささぬ 光なれども

へだてなき 彌陀の光に 罪びとの 心の隈ぞ さはりなりける

たぐひなき 光のうちに をさまらで 數のほかにや もれむとすらむ

なにしおはば ほのかに光 さしそへて 闇にまどはむ みちしるべせよ

いとどしく たのもしきかな あはれその いさぎよきより 立つ名とおもへば