和歌と俳句

源俊頼

ききめでて 願へと法に ときつれば なにか御国に たへならぬもの

ほのかにも 月見るほどは なぐさまで 心はなほぞ 西へかたぶく

彌陀の身も あまのみそらに はばかりて よもせはしとや おもひしるらむ

すぐるとは かりそめごとの しのすすき 穂にいでてたれも 人にをらるな

人救ふ こころきよさは あらはれて 彌陀のむかへに いざなはるらむ

かぎりありて はちすのぬみと 生まれなば つひにおもひの ひらけざらめや

世の中に しづむとならば 照る月の 影をならひの 池にすまばや

おもふこと 三つのをしへを ととのへて はすのはつはな みるよしもかな

津の国の 難波のことも たもたれば あしからぬ身と ならましものを

あしさまの ことのゆかりは おほかたの 耳のつてにも 聞こえざりけり

あさましや 千代の法にも あはずして 六つの道にも まどひぬるかな

あくがるる 心に身をば したがへて ゆくてによもの くにをみるかな

いづくにも ありあけの月は さやけきに いとどあさひの 影やそふらむ

そのほどと 彌陀のみよをば かぎらねば いくそうきとも いかが數へむ

流れくる 法のうききを 越す波は 清きのみかは 音もさやけき

極楽は 法やとがれて みがくらむ 四方のうつれる 鏡とぞみる

かの岸に わたらむものは あすか川 さはりの淵や 瀬になりぬらむ

年ふれど 朽ちせぬまきの 宿なれば ふるとも雨の もらじとぞおもふ

なににかは かけてもほどを しるすべき あふばかりなき 光とおもへば

つまこめし 神の八重垣 しげくとも 彌陀の光の ささざらめやは