春深し花をつけたる草
淵ひいて纜あらはれぬ昼霞
よごれたる海の面や夕霞
遠富士の現れ消えぬ夕霞
春潮にうち傾ける白帆かな
白虹の貫く天や畑打つ
風さつと壺焼の火を赤うしぬ
島山を焼く二すぢの煙かな
物売の荷を下したる汐干潟
古り果てて夫婦ともなし麦を踏む
月代や衰へそめし花かがり
手折り来し花をかざして渚人
夕富士やほのかに浮ぶ花の上
まらうどに早風呂焚くや松の花
蓬摘む真昼まばゆき川の面