和歌と俳句

梅 白梅

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障子越し碁の音聞え梅の花 虚子

煎豆やお手のくぼして梅の花 虚子

降りいでて雲の中なり梅花村 秋櫻子

痩梅の花ふたつ咲き二つのみ 草城

掻いくぐるごとく来れり梅の中 万太郎

梅咲くや小さんといへば三代目 万太郎

従順に杭打ちこまれ梅の花 青畝

山門も無くて梅林覺園寺 虚子

墓参して寿福禅寺の梅にあり 虚子

針山も見えて尼寺梅の花 虚子

僧とあふ坂の好日梅の花 蛇笏

さりげなく咲きたる梅のさかりかな 万太郎

大風を憂しと籠れば梅さかり 秋櫻子

麦生より鶫があふぐ梅咲けり 秋櫻子

梅一輪踏まれて大地の紋章たり 草田男

上州の風ひりひりと野良の梅 たかし

梅見んと眉毛をながく母きたる 信子

梅の昼はるかなる水汲みにゆく 信子

堂塔につつかひ棒や梅の寺 虚子

下りしバスやりすごすとき梅咲けり 万太郎

空屋敷ことしの梅を咲かせけり 万太郎

縁側に副ひて馬の背夕の梅 草田男

見え渡る戸戸の梅咲き野梅咲き たかし

白梅のうす緑して花盛り 石鼎

梅が枝を染めて零るる朝日影 石鼎

雨雫打つて白さよ梅の花 石鼎

夕鐘や梅永劫に花白し 石鼎

夕空に雲茜して梅黯し 石鼎

老梅も凡夫萬華の枝ひろげ 耕衣

茂吉
梅の花 うすくれなゐに ひろがりし その中心にて もの栄ゆるらし

虫眼鏡・磁石梅咲き吾子遊ぶ 草田男

梅花手に下車して高きレール越す 静塔

梅挿してマリアの白は奥深し 静塔

梅一輪山を圧して咲けりけり 青邨

梅が香やすずろに痛むおやしらず 草城

芭蕉菰をおのれ脱がんと梅の中 爽雨

病よき光陰ゆるび窓に梅 爽雨